特定技能で宿泊業でのベトナム人材の受け入れについて

2019年4月からできた新制度です。「労働者」として受け入れできる制度です。

どんなホテルや旅館に向いていますか?

採用までに時間がかかっても、ある程度日本語が使える外国人をフロントやレストランサービスとして採用したいホテルや旅館に向いています。留学生をアルバイトで採用している場合は、卒業後も働いてもらうのに向いています。それ以外の場合の採用は、後述する理由により、計画的な採用ができないため、ご縁があったときにひとりずつの採用となります。

 

特定技能で候補となる人材

留学生、元留学生(母国へ帰国済) 

日本語学校2年間修了、専門学校卒業生となります。稀に日本語の会話や読み書きが流暢にできる人もいますが、ほとんどの場合アルバイトをしていた時間が多く、簡単な日本語は流暢にできるように見えますが、ビジネスレベルの日本語を使える人は少ない。

・海外の大学の日本語学科卒業生

だいたいは3~4年間みっちり日本語を学んでいますので、基礎は十分以上にできていますし、翻訳などもできる場合があります。ただし、日本人とほとんど会話したことがないため、面接時や入国直後などは会話がほとんどできません。基礎ができているため1年くらいで流暢になる場合もありますが、個人差があります。

※「日本語堪能」などと売り込みしてくる業者も多いでしょうが、技能実習や特定技能はあくまで「実習」や「単純労働」のための制度ですので、最初から日本語が本当に堪能な人材は別の在留資格で高度な仕事に就くため、ほぼ採用できません。

 

特定技能「宿泊業」対応可能な仕事範囲

宿泊業の分野別運用方針によりますと、「フロント,企画・広報,接客及びレストランサービス等。当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(例:館内販売,館内備品の点検・交換等)に付随的に従事することは差し支えない。」

と書いてあります。要するに日本人のフロント担当、レストラン担当、事務所スタッフがやっている業務の範囲内なら良いと受け取れます。清掃や皿洗いなどの単純業務は、小さな旅館などでフロント担当が清掃もやっている場合なら良いでしょうが、そうではない場合はできないと考えられます。

「掃除、ベッドメイキングや皿洗いを外国人にやって欲しい」というニーズはよく聞きますが、特定技能では掃除に専従させることができません。

 

想定される給料は?

日本人と同等とのことですが、地方のホテルなどでは「日本人も15万円程度なので15万円…」「パートが最低賃金なので最低賃金で…」と思われるかもしれませんが、最低賃金や15万円では日本語検定4級と技能試験のハードルを越えた外国人を採用することができません。最低でも18万円なければ応募してくる外国人はいないでしょう。

出稼ぎ目的なら建設の25万円など、他の業種で給料の良い仕事を3~5年がんばるでしょうし、「日本語や日本の文化を学びたい」と向上心のある人材も、東京や大阪などの飲食業へ流れることが予想されます。

家から通勤圏内で仕事に通わざるを得ない日本人とは違い、外国人はどこにでも行けます。特に超売り手市場の特定技能では、選択の自由は外国人材の方が持っているため、低い給料では選ばれません。

現状は宿泊業の技能試験の合格者が280人程度しかおらず、今後も国内外での試験が拡大されていくのか、受験したい人がどれだけいるのか、外食業など他業種との競争で宿泊業がどれだけ魅力があるのかなど、ホテルや旅館側が人材を選べるような環境になるには様々な課題があります。

 

採用できるタイミングは?

「技能実習」の場合は、ハードルが面接だけですので、「〇月入国で〇人」というような感じで監理団体を通して送り出し機関に依頼すれば、その通りに募集し、面接し、教育し、入国となる場合がほとんどです。そのため、採用計画が立てられます。

「特定技能」は現状280名しか候補となる人材がいなく、試験が拡大されてもどれだけ増えるかはわからないため、求人サイトに掲載していてもほとんど応募してくる人はいないでしょう。人材紹介会社を通しても人材紹介会社すら試験の合格者とのつながりがほとんどありません。求人サイトを通しても人材紹介会社を通しても、タイミングと条件が合ったときに1人ずつの紹介となり、その1人もいろいろなところに面接に行って最も条件の良いところを選ぶはずですので、いつ、何人入社するのかは計画を作ることができません。

 

直接雇用だから技能実習の毎月の「監理費」などはかかりませんか?

技能実習の場合は、日本側の監理団体を通して企業が受け入れをしてきました。監理団体自体がいろいろな問題の原因になっているところもあり、監理団体の方々は海外ビジネスや労務のプロというわけではありません。それでもしっかりと仕事をしている監理団体がいるからこそ、問題はありつつもまだ制度がしっかりと運用されているのだと感じています。

技術・人文・国際業務の在留資格で企業が直接外国人を採用した場合、サポートしてくれる監理団体のような存在がないと事前の業務内容や雇用条件などを明確にしなかったり、外国人にとってわかりずらいまま進めてしまったりなどトラブルは多いです。

そのため外国人の採用に慣れている大企業ならともかく、一般の中小企業にとってはせっかくお金と労力をかけて採用した外国人とすぐにトラブルになって転職や失踪、通報などされ、それが原因になって処罰されることなども考えられます。

また、特定技能では企業が自ら外国人の支援体制がなければ、「登録支援機関」という監理団体に近い団体に、毎月の支援費を払って支援してもらうことになります。

支援内容は下記の通りです。今まで外国人を採用したことのない企業はほとんど、登録支援機関に依頼することとなるでしょう。支援費については、まだ制度が始まってから実績がないため、相場が出ていませんが安い最低限の支援のところで1万5千円程度、高くて手厚い支援で技能実習の監理費と同等の3万円ていどになるかとかんがえられています。

①出国前に日本での注意事項の情報提供
②空港までの出向え
③入国後に生活関係全般の情報提供
④住居を借りるためのお手伝いや賃貸借契約の保証人となること
⑤銀行口座開設、携帯電話契約のお手伝い
⑥役所関係の届け出のお手伝い
⑦日本語学習の機会の提供
⑧相談、苦情の窓口確保
⑨日本人との交流促進
⑩支援責任者や支援担当者と定期的な面談実施
⑪⑩の面談で法令違反を知った場合の行政機関への通報
⑫会社都合による解雇では、新しい就職先を見つけるまでのお手伝い
⑬外国人が帰国する際には、空港までの見送り