宿泊業での特定技能外国人の求人は高賃金と低賃金の二極化。海外からの送り出しが遅れているのは日本と送り出し国側の我慢比べ。

宿泊業を含めた特定技能の申請を多く行っている行政書士の方から宿泊業の現状について情報をいただきました。

宿泊業での特定技能外国人の求人は高賃金と低賃金の二極化。どちらも希望者は少ない。

・日本語レベル高(N2の上~N1) 24~30万円の求人

大阪や京都ではホテル建設ラッシュでオールマイティな活躍ができる日本語能力の高い外国人材の需要が高まっている。しかしそもそも日本語レベルの高い人は他業界での需要も高く、特定技能の試験を受けていない。

・日本語レベル中(N3~N2の中下レベル) 15~16万円の求人

宿泊業の国内試験が比較的難しかったため、合格者は日本語能力が中レベルでも比較的優秀な人が多かった。しかし募集内容が単純労働でかつ技能実習生並の低賃金の求人に魅力を感じなかった。そのため試験に合格したものの宿泊業会への就職を見送っている。

とのことでした。

たくさんの人が国内外で技能試験を受けることができるようになることが前提ですが、現実的に募集ができるライン、というよりこの業界に魅力を感じて試験を受けてもらえる条件としては、N4で17~18万(16万程度では技能実習生と同じになってしまうのでわざわざ試験を受けない)、N3~N2の下レベルの方で最低18万、N2の中レベルで18~20万程度でしょうか。他業種との競争で変化していきますが、現状はこのようなラインが現実的ではないかと思います。

N2の上級レベルの人たちは想定するだけ無駄です。経験上、N2の上の方の人たちやN1を持っているような人材は「単純労働」というカテゴリーとされている特定技能を選ばないためです。この層は日本に行く側ではなく、日本に送り出す日系人材紹介会社や送り出し機関で送り出す側だったりします。募集する場合はやはり24~30万程度かと思いますが、それでも厳しいのが現状です。

ベトナムで「特定技能でもう一度日本に行きたい」という人にたくさん会いましたりましたが、このような高度な日本語力や学歴、経験を持った人はほぼいなく、100人にひとりくらいでしたが、そのひとりも「実はベトナムで仕事ができればベトナムで仕事をしたい」ということだったので、うちの会社で採用し、送り出す側にまわりました。日本で就労ビザが取れなかった人たちや、日本に行ったことがなく、現状は会話力があまりなく日本で会話力を向上させたい日本語学科出身の人たちがほとんどです。

完成した人材の採用はもともと無理なので、日本語能力が思ったほどでないにしても採用してから育てていく必要があります。しかし特定技能外国人は日本語レベルを問わず採用できる見込みがなく、何年かかるかわからない現状では、技能実習でほぼゼロから下働きを含めて育てていく以外に方法なないかと思います。

 

日本と海外側の我慢比べ

特定技能の話が出てきた当初は、「海外の人材と日本の企業の直接雇用が可能」ということで、今まで送り出し機関や監理団体を通してしか受け入れできなかったのが、企業も業界団体側も直接海外の人材とつながれば優秀な人材をほとんどタダで採用できるのではと考えました。

しかし「海外の人材を日本企業が直接採用」というのは、日本側だけでの制度で、送り出し国側にとっては自国の発展を担う若者を日本から手を伸ばしてごっそり持っていかれるため許すはずがありません。また、「簡単に稼げる」などと日本人のブローカーに騙されて連れていかれるくケースも多く、そのような日本の悪徳ブローカーや悪質日本企業を排除するためにそれぞれの国が独自の法律を作っています。

「悪質ブローカーの排除」というのは日本側が送り出し国側に厳しくプレッシャーをかけていますが、送り出し国側としても悪質な日本のブローカーや企業を問題視し、それらから自国民を守る必要があるため、「直接採用」ではなく、わざわざ送り出し機関などに仲介させています。

以前の投稿で日本から送り出し国のベトナム側への手数料はひとりあたり1800USD、教育費1000USDという未確認情報があるとお伝えしましたが、送り出し国側の立場からは当然の要求でしょう。

ベトナム側は、日本政府が しびれを切らして、その条件を飲むまで我慢比べをするようです。ベトナム側は特定技能で日本に行けなくてもよりハードルが低く日本に行ける「技能実習」がありますし、日本でなくてもベトナム人を欲しがっている国は台湾をはじめたくさんある。人が来なくて困るのは日本なので、最終的に日本が折れるしかありません。

このような状況は、特定技能の送り出し国すべてが積極的に取り組んでいなく、正式な手続きなどのお達しがどこからもでていなくて、未だに海外からの受け入れの目途がたっていないことから、それぞれが我慢比べや他の外交も絡めた駆け引きをしてるのではないでしょうか。

 

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